読みづらいようでしたら此方へ
私がワーグナーにのめり込む切っ掛けを書きたいと思います。
クラッシック音楽に全く興味も無く学校の音楽の時間は端から莫迦にしていた、ど素人の私が嵌った位ですから。
聖人君主然として肖像画が並んでいるのが胡散臭くて(私は小学校の時からアナーキだったのか?)
どこが楽しいだと呪っていました。
もしあの時代に先生が♪ベッドの中でうんこしろ♪とモーツアルトが下品な曲を作っていたんだゾと
シモネタに振って教えてくれたらモーツアルティアンになったかもしれない・・・・・・
総ての起源がフランス遊学に始まります。
ワーグナーの曲は断片でチョコチョコ耳にしていたのですが、かっこ良いけどのめり込むには到らず、その頃、はやっていた地獄の黙示録でヘリボーン作戦遂行中のBGMにてワルキューレの騎行が「かく凄まじき物なれ」とか傍観者的立場で見ていたくらいです。
ジークフリート葬送曲だってあの映画を見なければ「なんかゴジラとか怪獣が出てきそうでない?」と語尾を省略形でのたまい同意を求める口ぶりで語ってしまいそうだった。
ジョン・ブァマン監督の「エクスカリバー」に出会うまでは。
この様な画像は多分ブアマン監督がビアズレーにインスパイアされたと思うのだが、 イメージ的に湖面にそそり立つ剣が在ったもので気づかなかった・・・・・・何のことは無いDVDで出てたのね。 |
マロリーのアーサー王の死をかなり端折っているのですが、ポイントを得た表現で生々しくあり。歴史的、且つ文学的作品をこうゆう風に表現すれば生き生きとしてくるのかと感銘を覚えました。聖人君主然とした人々が教本通り演じても其れは其れなりに見れたかも知れない。血が通わないのっぺりとした人物群で終ってしまう物を、人間であることの生臭い物を敢えて見詰め、性と生に対する欲望を持って生きた人間であることを描いて見せた事によって同じ血の通う者であったと実感させられます。
話が脇に大きく逸れましたが、その映画の中で実に効果的にワーグナーの音楽が取り入れられているのです。
湖面から剣のライトモチーフと伴にそそり立つ剣。
ランスロットとグネヴィァ姫の密会に流れるトリスタンとイゾルデ。
二人の全裸の姿態が官能的で・・・・・
騎士パーシヴァルが聖杯を求めて彷徨う背景にパルシファル。
(実際には流れていなかったけれど)
アーサー王の死の際彼は騎士パーシヴァルに静かな湖を見つけ剣を棄てよ命じ、
パーシヴァルは一度は躊躇したものの湖に剣を投げ棄てる。
その時湖面から湖の婦人の手が伸びエクスカリバーを握り、
湖面に消えていく時の・・・・・
アーサー王の元に返ってきたパーシヴァルの眼の前にはアヴァロンに旅立つアーサー王が・・・・
そしてそれらに添えられた、ジークフリート葬送行進曲の耀きの部分。
官能的かつ躍動感に溢れた音の調べと映像的美しさが一体化し鳥肌が立ち、戦慄さえ覚えた程でした。
俗な表現だと「痺れてしまった」其れが一番的を得ているかもしれない。
参考文献としてお読みでなかったらどうぞ。 | ||||||||||||||
アーサー王の死ちくま文庫―中世文学集 |
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これでビアズレーの絵が置いてあったら完璧なのだが・・・・・ なぜ置かない? お世辞にも心引かれるとは言いがたいイラスト飾るぐらいなら退廃的なビアズレーを置けと。 売る気が無いのかと小一時間(ry |
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お子チャマ向けに〜(^-^; |
グリーン版アーサー王物語 |
アーサー王と円卓の騎士 |
アーサー王伝説 |
アーサー王伝説の根源とかを説かれてありますので、背景の事情を知っておくとよろしいかと。 ⇒ケルト神話に辿り着くのもそう遠くは無い・・・・ |
図解アーサー王伝説 |
絵的感覚人間からすれば此方の方が解り易いし、読み易い。 |
その時一緒に観に行った友人Kが音楽校の学生だったので、この映画に使われている音楽はワーグナーであると教えられ其の侭レコード店に行き訳が解らないままオットー・クレンペラー全曲盤の黄昏を買ってしまう。値段が比較的安かったのだが・・・・・・
抜粋盤が在るなら在るで説明してくれよ・・・店員&友人K
なにぶんにも右も左も判らない外国なもので・・・
今考えると良くめげなかったなと・・・・
後にその友人から抜粋盤の事を教えられ、かなり買いあさる始末。
丁度その頃ワーグナー没後100年ということでピエール・ブーレーズとバトリス・シェローのフランス人コンビによる、世紀のワーグナーとかで騒がれていた。
ブーレーズは数学を学んでいる私の友人M君が通う大学の教授だったりして結構身近な存在でした。
(ブーレーズは数学の教授です。)
最近のブーレーズ教授 指揮棒を振らないで腕で表現するお方。 空間に図形を描く感じでふります。 |
その頃は手に入る日本語の文献が少なく概略でしかストーリが判らず、北欧神話の文献に手を出し、ノルウエーのヴィゲラント公園まで行く嵌めに・・・
そうこうしている内抜粋盤では物足りなくなり全曲盤も聞けるようになってしまいました。
恐ろしい事にあれほど嫌っていた全曲盤が、通して聞ける様になると、又最初から聞いてみようかと気になり、最初のレコードに又針を落とし実際に聞いている自分を発見してしまう。
音譜、楽譜が読めないくせにオーケストラ・スコアを買っている自分が恐ろしい。
(指環のスコア・ブックにはペンで描いた雛型の下絵がかなり差し込んであります。)
アーサー・ラッカムの素晴らしい絵に負けました。 (Twilight of the Gods) |
元々破滅的な北欧神話が大好きでワーグナーに嵌る前からちょくちょく本を読んでいました。本格的に調べる気に成ったのは矢張りワーグナーです。微妙にワーグナーの端折り方が壷を衝いている事にきづかされます。
そして最大の僥倖なのは前述のパトリス・シェロー&ブーレズのフランス人コンビに依る、ニーベルングの指環をフランスのT・Vで観た事ではないだろうか?
Tvの場合映像的補足があるので細かい話が解らなくても大体画像を見ていれば流れが見えてきますし、字幕まで付いているので
(勿論フランスでの話なので字幕はフランス語ですが・・・・)
演出自体も判り易かったと思います。
若し是がヴィーラントの演出と仮定すると初心者にはハードルが高かったであろう事は想像に難くない。
(今だったら観れると思う・・・・途中で睡魔に襲われつつであろうが。
然しベームの音楽は激しく凄いので聴き応えは至宝の一品であると断言したい。)
そのなかで少ない日本語文献の知識の中でヴォータンの持つ槍が契約を司る、大切な槍であることを聞きかじっていたのでジークフリート第三幕で槍が砕かれるシーンを見ておおおっと思い是から碇を亡くした世界はどう流転してしまうのだろうかと真剣になりました。
にも増して凄いと思ったのは黄昏で自分の妻であるブリュンヒルデを精神的にレイプする(ドメスティックバイオレンス?)シーンが自分の創ったキャラクターを此処まで汚せるかと感銘を受けました。
大抵思い入れのある自分の作った主人公キャラは汚れません。これが世間一般の定説です。
彼は救いを無くし殺害される程の業を作ってしまいます。
ブリュンヒルデはジークフリートが魔酒によって記憶を無くした事を知らないまま総てを諦念の内に納め最期を迎える。(グートルーネの一行足らずの言葉によって総てが解る様に伏線を張ってあるが敢えてこの言葉は彼女の心に届いていないと解釈したい。)
下知識もない状態で行き成りこの様子を観たらこれは将に僥倖。
ワーグナーの延々と続くテキストの文字列がない分だけ鮮烈でした。
僥倖
総てが僥倖